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@shun159
Created May 22, 2025 07:23
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「まぁ好きではじめた仕事ですから」
最近はGitOpsに魂がこもってないと、彼はこぼした。
まず、kubectl get podsでCrashLoopの確認から一日が始まる。
「やっぱ一番燃えるのは、お客さんがSlackで @channel 飛ばしてくれたときですね。この仕事やっててよかったなって」
「毎日毎日、クラスタの機嫌が違う。AIじゃできない」
今日はリリース日。
彼はdeploy-frontend-v2.yamlを手に取り、ターミナルの前に座る。
基本的な構造は決まっているが、最近のCI/CDの流行りに合わせて
余計なannotationやlabelも書かなければならないのが辛いところ、と彼は語る。
「やっぱ冬の仕事はキツイね。クラスタが冷えるとイメージpullも遅いからさ(笑)」
「でも自分が選んだ道だからね。後悔はしてないよ」
「このマニフェストはダメだ。見てみろ、envFromがConfigMapじゃなくて直接envにハードコードされてる」
彼の目にかかれば、resources.requestsとlimitsのバランスを見るだけで出来不出来がわかる。
技術立国日本、ここにあり。
今、一番の問題は、後継者がみんな helm templateに逃げていくことだという。
kubectl apply -fの前に、タブ幅とインデントが気に入らないとその日のデプロイをやめてしまうこともあるという。
3年前は、手書きYAML職人がSlackのチャンネルに何人もいたこのチームだが、
今では彼ひとりになってしまった。
PRのコメント欄に現れるだけで、若手のレビュー依頼が震え上がる。
imagePullPolicy: Alwaysの意味を訊かれたら、3時間の講義が始まるからだ。
「もちろん完成したYAMLは一つ一つdry-runしてチェックします」
ここ数年は、KustomizeやArgoCD勢に押されているという。
「いや、ボクは続けますよ。YAMLが手で書かれている限り、運用されているサービスがあるんです──」
livenessProbeの値は低い。だが、まだ輝いている。
「時々ね、若い子が『このannotationなんですか』って訊いてくれる。ちょっと嬉しいですね」
「別のプロジェクトから、YAMLレビューを頼みに来られることもある。体が続く限り、続けようと思ってます」
「やっぱねえ、手書きだからこその整然さってあるんです。ツールがいくら進化したって、コレだけは真似できないですよ」
2017年、Helm v3の登場で手書き文化が脅かされたときは、さすがに現場を離れることも考えたという。
「やっぱりアレですね、
若い人はすぐ applyしちゃうんですよ。
validationもせず、差分も見ずに……。
でもそれを乗り越える奴もたまにいますよ。
ほら、そこにいる斉藤もそう。
kubectl diffを使うんですよ、毎回。
そういう奴が、これからのYAML界を引っ張っていくと思うんですね」
最近では海外のRawYAMLersにも注目されているという。
額に流れる汗をぬぐいながら
「本物に追いつき、追い越せですかね」
そんな夢をてらいもなく語る彼の横顔は、確かに職人のそれだった。
今日も彼は、Argoのsyncボタンが押される前に、すでに手動でapplyを終えていた。
明日も、明後日も、その姿は変わらないだろう。
そう、手書きYAML職人の朝は早い。
───――完───――
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